DX推進に立ちはだかる壁「属人化」を解消する3つのコツ

PIVOT Column 編集部 Member

2023.5.22 (更新日 2023.6.14)

最悪のシナリオ「2025年の崖」を回避せよ -DX化へ向けて

こんにちは。ディレクターの粟本です。

 

突然ですが、「2025年の崖」という言葉をご存じでしょうか?

2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」で提示された課題のことを指します。それは、「老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システム」や「IT人材不足」を放置した場合、2025年以降、最大12兆円/年の経済損失が生じるであろうと、企業へ向けて警鐘を鳴らすものです。

 

DXを先延ばしにしている企業は 、古いシステムの保守・運用のために人材・コストがかさむ上、データ活用が進まず、「市場の変化に取り残されるリスク」があると予想されています。

 

DXレポートが発表されて5年。「2025年の崖」まであと2年となりました。しかし先日、リコージャパンが公表した「DXに関するホンネアンケート(2023年3月)」によると、実際にDXに取り組んでいる中小・中堅企業はわずか20%。DXの必要性はわかっていても、なかなか進まないというのが現状です。

 

上記のアンケートで、「導入に向けた課題」としてもっとも多かったのが「現場の意識・理解が足りない」で35%。逆に、「経営の理解が足りない」と答えた企業も21%にのぼり 、従来のやり方にこだわる現場の抵抗や、経営層の理解不足の実態が明らかになりました。また、社内のDX推進担当者が現場と経営陣との板挟みに悩むケースも多いようです。

 

そこで今回は、ブラックボックス化された既存業務を見える化して、円滑にDX化を進めるためのコツをご紹介したいと思います。

「属人化」はいけないのか?

DXを推進しようとするとき、よくあるつまずきの1つが、 「今の業務に合わない」という現場からの意見で、プロジェクトが止まってしまうことです。この背景には、マニュアルにない「属人化業務」が潜んでいることが多いのです。

 

では、「システムの属人化」はすべて「良くないこと」で「撲滅するべきもの」なのでしょうか?

 

私が実際に現場で感じてきたのは、属人化している業務の多くは、現場のご担当者が既存のルールよりも便利に業務を進めようとする「工夫」や、お客様・同僚など、周りの人への「思いやり」から生まれているということです。

 

例えば、ある事務処理をAさんとBさんのふたりで分担するときに、現場では担当者同士がこっそり業務を取り替えたり、一部作業を渡したりすることがあります。これは既存のルールに沿うよりも、その方が効率が良い、という現場の知恵なのです。

 

一方、マネジメント面から考えると属人的な運用は、異動・退職時のナレッジ消失や、問題発生時の責任不在といったリスクがあります。また、マニュアルなどに代表される「ルール」は、さまざまな経緯・背景を踏まえて作られたものですが、この背景を知らずに効率のみを重視してルール外の業務を行うことは、思ってもみないトラブルを招くことがあります。

 

DXは、こういった現場の知恵、属人化している業務、ルールを作るに至った経緯や背景も含めたシステムの全体像を明らかにし、デジタル技術によって、便利さ、リスク、守るべきルールを最適化していくことなのです。

 

DX推進担当者の方には、「属人化=なんだか良くないもの」というイメージを一度手放してみることをおすすめします。属人化していてもそうでなくても、「業務のひとつのやり方」としてフラットに情報収集することが、「業務の見える化」の第一歩です。

DX推進に欠かせない3つのコツ

先述の通り、DX推進においては、「属人化している工夫」も含めて既存業務に関連する情報を集めることがファーストステップです。DX化には、多くのステークホルダー(経営陣・管理部門・システム部門・実際にシステムを使う現場のご担当者)とのコミュニケーションが必要となりますが、その際、以下の3つのポイントを抑えておくとスムーズなヒアリングができます。

  1. 既存ルールに沿っているかを判定・叱責しない
    特に経営・管理職層の方に気を付けていただきたい点です。
    「マニュアル外作業を行っていることを話しても、不利益にならない」ということを約束・合意したうえでの推進が必要です。
  2. 担当者の工夫に尊敬を持ってヒアリングする
    イレギュラー対応など属人化しやすい業務は、担当者個人に負担がかかる一方で、苦労が多いほど業務自体が担当者のプライドやアイデンティティに直結しているケースがあります。これまでの現場の努力に敬意を払うとともに、システム導入によって、負担減につながることや、空き稼働でスキルアップを期待していることを担当者と共有しましょう。
  3. 中立な目で最適解を選ぶこと
    DX推進は多くのステークホルダーが関わるため、部署間、経営層対現場などコンフリクトが生まれやすいプロジェクトです。各関係者に平等にヒアリングを行い、中立的立場を崩さないことが、プロジェクト成功への近道です。

フラットな視点でDXを推進。業務の最適化に向けて伴走します!

成功するDXには、現場の声をいかに拾い上げて生かしていくかという視点が欠かせません。一方で、社内関係者の利害調整をしながら、フラットに意見を聞く難しさに悩んでおられるDX推進担当者の方も多いのではないでしょうか。

 

客観的な視点を持った「新規着任者」にDX化のミッションを任せる方法もありますが、実業務のスキルと属人化解消のスキルは別であることが多く、実業務とのスキルマッチが優先されるのが実態だと思います。

 

先述した、リコージャパンのアンケートでは、 「DXに取り組む際に社外の相談相手は必要ですか?」という問いに、実に63%が「必要」と回答しています。自力でDXを推し進めようと奮闘中の担当者の皆さんには、「ひとりで抱え込まなくても大丈夫ですよ」とお伝えしたいです。さまざまな利害が複雑に絡み合うDX推進において、客観的な視点を持つ相談相手は、進むべき方向を指し示す羅針盤のような存在になってくれるはずです。

 

 

編集後記

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

もし、DX導入でお困りなら、ぜひPIVOTへご相談ください。

 

「何から手を着けていいのかわからない」という状態でも心配ございません。システム導入に至る前の「属人化プロセスの洗い出し」や「関係各所へのヒアリング」から、親身に対応いたします。

PIVOTが少しでも、相談相手を必要とされているDX推進ご担当者のお力になれたらと思います!

 

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