ウェルビーイングなCXを実現!リサーチ&デザインの力でCX(カスタマーエクスペリエンス)改革
2024.10.15 (更新日 2024.10.21)
こんにちは。PIVOTコラム編集部の大場です。
PIVOTにお寄せいただくご相談のなかで、近年増えているのが「デジタル領域に限らず、事業全体のデザインから考えてほしい」というご要望です。
今回お声がけいただいたフィットネス企業様は全国に多くのスタジオを運営されていますが、そのなかで「新しい顧客体験の形」を模索されていました。
PIVOTでは、アプリリニューアルを端緒に、サービス全体に関わるユーザー体験の可視化を行い、リニューアル案をご提供しています。
今回は、フィットネス企業様の事例をもとに、オン・オフラインを通じたCX(顧客体験)の向上をサポートするPIVOTのリサーチ&デザインをご紹介します。
もくじ
ウェルビーイングな顧客体験を生み出す
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今回のプロジェクトの概要を教えてください。
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石田
最初にクライアントからお聞きしたのは「徹底した顧客ニーズに合わせたスタジオづくりをしたい」「顧客の時間に寄り添いたい」という事業展望でした。
そのために「やりたいことを顧客自身が選び、要求できるツールで、顧客のワクワク感を醸成したい」「まずはヨガで、実験的に顧客ニーズに寄り添う形のビジネスモデルを検討したい」という目標がありました。
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鈴木
このプロジェクトは「アプリをつくって終わり」というようなものでなく、「ヨガやピラティスの楽しさ・面白さを顧客に伝えること」を長期的な目標として、最初はツールの形も決めずにスタートしました。
PIVOTとして最終的にご提案したのは、理想の形を模索するために、UIスケッチおよびデザインモックを作成し、検討材料の可視化を行うこと、それをもとにしたリサーチを実行することでしたが、それまでに何度も対話を重ねて、与件の整理を行っています。
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石田
全国約150店舗のスタジオ経営を通して、エンドユーザー個人個人の要望の高まりを感じられていて、カスタマイズ性の高いサービスへの転換を検討しているというお話もありました。
そこで、まずはユーザーインサイトの把握と、それを反映したご提案をすることになりました。これには、顧客とのかかわり方やレッスン内容など、UXを超えた部分についても含まれています。
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鈴木
「フィットネスを通して、ウェルビーイングな生き方に貢献する」というクライアントの企業理念を、オン・オフライン問わず実現したい、という想いを受けて、ご提案の領域はオン・オフライン両方となりました。
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プロジェクト全体のスケジュール感を教えてください。
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石田
23年12月から24年4月までの5カ月間のプロジェクトです。今回は、最初の2カ月間をアンケート・インタビュー・実地調査、UIエキスパートレビューなどの調査期間に充てました。その後調査データの分析と並行してUIスケッチを作成、残りの2カ月間で、UIスケッチをもとにした検証を行っています。
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5カ月と長いスケジュールですが、クライアント様とのコミュニケーションはどのようにされていたのでしょうか。
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鈴木
クライアント様とは、週1回の共有会議を行い、密にコミュニケーションを取っていました。
UXリサーチやUIレビューは、アウトプットが出てくるまで、クライアント様からは何をやっているのか見えづらいというご不安があるかと思うのですが、PIVOTでは、プロジェクト着手前に、ウィークリーの予定表を共有し、週1回の会議で、都度都度クライアント様に進捗を報告させていただいています。調査や検証に関しては、クライアント様にお願いする部分も多いのですが、予定表を共有することで、進んで動いていただけました。
調査や検証の項目なども、PIVOT側が勝手に決めるのではなく、協議しながら決めていきます。密に情報交換を行うことで、クライアント様のご不安を取り除くとともに、調査・検証結果にも納得感を持っていただけるのかなと思います。
7つの調査でユーザー体験を可視化する
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調査のフェーズでは、どのようなことを行うのでしょうか。
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石田
調査内容はプロジェクトによっても異なりますが、今回はサービス全体でのユーザーニーズを探る必要があったため、7つの調査を行っています。
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7つもですか!
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石田
ユーザーアンケートや対面インタビューで顧客のことを知るのはもちろん、インストラクターさんへのインタビューや、競合他社に関する調査を通して、クライアント様の事業を多角的に理解できるように努めています。また、ひととおり理解を深めたあとは、実際の店舗に足を運んで、現地調査も行います。
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現地調査は、どのように行うのですか。
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石田
PIVOTメンバーであることを伏せてクライアントの店舗や競合他社の店舗に赴き、体験レッスンを受けました。
レッスン予約から受講終了までの一連の流れを実際に体験して、そのとき感じたことを都度まとめます。プロジェクトメンバーそれぞれが体験したことを集約することで、顕在的・潜在的な課題を発見できます。
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なるほど。7つの調査で見えてきた課題にはどんなものがありましたか?
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石田
ひとつ例として挙げると「もっと誰かが自分の成長を見ていてくれる実感が欲しい」という声が多くありました。ヨガやピラティスは、自分では正しくできているのか、自分はどのレベルなのか、というのがわかりにくいこともあって、スタジオやインストラクターさんとのコミュニケーションが、非常に重要な要素になります。
私も、体験レッスンを受けたときに「石田さんはここを直すともっと良くなるよ」とアドバイスをもらって「そんなところまで見ていてくれたんだ」と感激したので、この気持ちはよくわかります。
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鈴木
コミュニケーションの課題は、調査を通して見えてきた重要な一面ですね。この点については、インストラクターさん側からも課題感を挙げてもらっていて、より多面的に課題を理解することができたと思います。
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石田
こうして、データをもとに発見した課題を複数抽出して、ロジックツリーやアクティビティシナリオに落としていきます。こうして可視化することで、ユーザーの抱える課題が明確化し、改修すべきポイントが見えてきます。
UIエキスパートによるレビューでより使いやすく
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7つの調査のなかで、「UIエキスパートレビュー」という調査項目があります。これはどんな調査ですか?
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樂
UIに精通したUIエキスパートが、サービスやプロダクトの使いやすさを向上させるため、課題・問題点を評価します。PIVOTには現在20名弱のUIエキスパートが在籍し、1つのサービスについて3~5名でレビューを行います。
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評価の基準はどのようなものでしょうか。
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樂
ヤコブ・ニールセンが提唱する「ユーザビリティ10原則」に沿って評価しています。例えばレッスン予約をしようとするユーザーが、どのような過程をたどるのかをトレースしていって、どこが問題になっているか洗い出します。複数名でレビューしますが、チェック自体は各々行って、最後に全員の意見を集約します。
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今回のUIレビューでの課題点はどこでしたか?
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樂
クライアントは、全国約150店舗のスタジオで、毎日数多くのレッスンが行っています。予約導線上では、膨大なレッスン群から自分に合ったレッスンをすばやく見つけられるよう、提案を行いました。
また、ボタンデザインや色使いのルールを統一したり、文字情報も表記ゆれが発生しないようにしたり、UI上で迷うことがないよう、提案を行いました。今回は、特にレッスンの予約導線に絞ってレビューを行い、結果を40ページほどの報告書にまとめています。
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UIレビューで得られる効果はどんなものがありますか?
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樂
本プロジェクトに限らず、改修を繰り返したり、ボリュームが大きくなることで、使いやすさが損なわれているケースがあるかと思います。UIエキスパートレビューでは、現行のサービスを細かく評価し、洗い出した課題に対して、より使いやすく、効果の高いデザイン方針を立案・ご提案しています。
UIエキスパートレビュー単体でのご提供もしているので、UIのどこに課題があるのか、お困りのことがあれば、ぜひ検討していただきたいです。
ユーザーテストで事業アイデアを検証する
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調査が終了したあとの流れを教えてください。
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石田
調査の結果をもとに仮説を立て、UIスケッチを制作します。UIスケッチはモックアップをつなげたもので、これを実際のユーザーさんに触っていただいて、その操作の様子をトレースし、わかりづらいところ、時間がかかったところなどを調査します。
さらに、1回目のテスト検証で挙がった問題を修正して、2回目の検証を行います。
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UIスケッチを制作するに当たって、調査結果をもとに制作したポイントを教えてください。
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石田
UIレビューをもとに、トップページからレッスン予約への導線をシンプルにつくりました。
レッスン紹介やおすすめレッスンなどのコンテンツへ遷移する導線もトップにまとめて、とりあえずここに来れば何をすればいいかわかる、という形を目指しています。
その他、マイページへの機能追加や、おすすめレッ スンのレコメンド、継続施策としてのスタンプラリー機能、カルテなど、リサーチによって判明した重点課題に応えるかたちの新規機能を追加しました。
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調査フェーズでの結論が活きていますね。
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石田
そうですね。例えば前述したコミュニケーションに関する課題についても、アンケート機能や相互コミュニケーションを取れるような施策も行っています。また、レッスン名や難易度がわかりづらいというご意見に応えて、レッスン紹介ページにも力を入れています。
アプリの使い心地と同時に、サービス全体の課題を解決する施策としての新機能を提案しました。
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コミュニケ―ションが重点課題であることは、調査がなければ気づけない部分ですね。
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石田
そうですね。「見てくれている感」が大事だと考えたので、新機能でそういったユーザーの感情を満たせるような機能を提案しています。
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ユーザーテスト検証は、いかがでしたか?
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石田
2回行ったことで、より精度の高い提案ができたのではないかと思います。
例えば、予約の導線に関して。今回、「通常レッスン」に加え、新たに「いつでも受講レッスン」への予約導線を設けたのですが、1回目のUIスケッチでは、各々につながる入り口を分けて設計していました。ところが検証の結果、そこで迷われる方が多かったので、2回目では導線をひとつにまとめた、という経緯があります。
調査を行って、ユーザー理解を深めたうえで仮説を立てていますが、実際のユーザーに使ってもらうことで、ブレを補正していくのが、検証フェーズの目的です。既存の機能に加えて、追加した新機能もあり、コンテンツボリュームとしては多くなったのですが、2回の検証を経て、よりわかりやすく快適に使えるものになったのではないかと思います。
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アウトプットとしては、どのようなものを提供していますか。
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石田
週1回の共有会議で、都度、データやエキスパートレビューの結果、UIスケッチなどは提出をしていますが、検証終了後に改めて、すべてを網羅したレポートを提出しています。
また、今回はサービス全体の企画計画をご要望いただいていたので、改善方針やそれを具現化するためのアプリUXなどもレポートさせていただきました。
CXも丸ごとおまかせ。PIVOTのリサーチ&デザイン
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既存システムのCX・UX改善をお考えの方も多いかと思います。PIVOTのCX・UX改善は、どのような点が強みだと思われますか?
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石田
今回の件ではあてはまらないのですが、最近ご相談で多いのが、既存システムの誰も全貌がわからなくなってしまった…というケースです。PIVOTでは、UXデザイナーが入って、情報や機能の整理から行えるので、ぜひ活用していただきたいなと思います。
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樂
既存のシステムを、徹底的にプロの目線で調査できるのが、PIVOTの強みだと思っています。
また、今回のようなアプリに閉じた話ではない、サービス全体のことを俯瞰した目で見て提案ができるので、ふんわりとしたご要望でも、お聞かせいただきたいなと思います。
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鈴木
困っていることを可視化して、伴走しながらプロジェクトを完遂させることができるのが、PIVOTのいいところです。
プロジェクト開始時に週ごとのプランを共有しますので、どのように調査と検証が進んでいくのかの全体像を、クライアント様側でも把握できます。クライアント様と伴走するためのノウハウも蓄積されている、そこがPIVOTの強みかなと思いますね。
プロジェクトの詳細はこちらでもご覧いただけます!
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