プロジェクトリスクをコントロール!“実現したい価値”から具現化する、ローコスト&スピーディーなプロダクト開発
2022.10.12 (更新日 2024.9.02)
こんにちは!マーケティングと営業担当の黒川です。
早速ですが、せっかく新規プロジェクトの検討を始めたのに、途中でペンディングになってしまった…という経験をお持ちの方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
・提案を受けたものの良い提案が無かった
・想定よりも予算が大幅にかかることがわかった
・プロジェクトを成功できるイメージが持てなかった
など、さまざまな要因が考えられますが、一番のネックは、「リスクの大きさが読めない」ということではないでしょうか。
何かのアクションを起こせば、そこには必ず変化が伴います。その変化に対して責任を負うのは、多くの場合はプロジェクトのご担当者です。
アイデアに自信があっても、「100%」はありませんから、ゼロリスクのプロジェクトは存在しません。しかし、リスクを最小限にコントロールしながらプロジェクトを進めていく方法はあります。
今回は、プロジェクトにつきもののリスクをマネジメントできる2つの方法を、最新の事例も交えながらご紹介します。
もくじ
【1】プロトタイピングではじめる「ミニマムスタート」
近年、多くの経営者や新規事業の担当者が取り入れている考え方に「許容可能な損失(Affortable Loss)の設定」があります。
これは、仮に損失が生じても致命的にはならないコストをあらかじめ設定し、それを上回らない範囲で積極的に施策を重ねていく方法。投資の世界では「ダウンサイドリスク(=下振れリスク)」とも呼ばれます。
ITプロジェクトなら、短期間で試作品を製作して、ユーザーや市場の反応を見ながら改善を重ねていくプロトタイピングが好例でしょう。
あらかじめ上限予算を設定してプロジェクトに臨むことで、予算や納期が無限に拡大していくリスクを軽減させられ、いち早く市場に投入することで新たな課題の発見にも繋がります。
プロトタイピングが有効な事例としては、ベンチマークの競合サービスが決まっているケースがあります。実際に「このサービスと同じものをつくりたい」というご要望をいただくことも多いのですが、世に受け入れられているサービスは大抵、サービス開始から年月をかけて、アップデートを繰り返しながらいまの形にたどり着いています。
当然ブラッシュアップコストもかかっていますし、一見良いサービスに見えても、部分的なリニューアルを繰り返したがために逆に使いづらい、保守しづらい構成になっているものも多々あるのが現状です。これをそのまま複製すると、莫大なコストがかかる割に思っていた効果は得られない…ということになりかねません。
プロトタイピングの過程では「最もミニマムで最終的に実現したい価値」を定義していきますが、競合サービスが提供しているもののなかで「自社で実現したい価値」「自社にフィットするサービス」は何なのか?を精査し、コンパクトに具現化してみることで、思ったよりも小規模でアイデアを実現できることに気づくこともあります。
プロトタイピングについては、こちらのコラムもご覧ください。(https://pivot.jp/column/prototyping/)
【2】コンセプトを実証実験するPoC
一方、最近増えているのが「PoC(Proof of Concept)」のためのプロトタイピングです。
PoCは「概念実証」と訳され、製品やシステムの有効性を検証する目的で行われます。
元々は医薬品業界で使われていた言葉で、新薬を開発する際に有効性や安全性を確認する臨床実験のことを指していました。
広い意味では、化粧品や食品の試供品を配布するサンプルマーケティングや、長編映画の前段階につくるコンセプト映像なども、PoCとされます。
このPoCが、近年デジタルプロダクトの世界でも行われるようになってきました。
【1】で紹介したプロトタイピングが、完成品を目指してブラッシュアップしていくのに対して、PoCではプロトタイピングで制作したプロダクトが必ずしも完成品になるとは限りません。むしろ、特定の領域やアイデア、使われ方に検証ターゲットを絞ったテストや検証といった意味合いが強くなります。
特に予算規模が数千万円~億単位となるような大きなプロジェクトでは、このPoCを企画・構想段階の重要なフェイズと位置付けている企業が多く、実際にPIVOTにもこのようなご相談をいただく機会が増えています。
あらかじめPoCを行うことによって、早い段階でアイデアの不備や開発の不確実性を発見できるため、リスク回避につながるからです。
PoCで重要なのは、事前に何の効果・データを得たいかを決めておくこと。その効果検証に必要なプロダクトを、最小・最短距離でつくることがPoCの成果を最大限に高める秘訣です。
【3】プロトタイピングの実装
ここまで見てきたとおり、プロトタイピングはリスクを最小限にコントロールしながら、プロジェクトを一歩前に進めるために有効な方法です。これからのプロジェクトマネジメントは、検討ばかりを繰り返して前に進めない「オールorナッシング」よりもリスクを分散しつつプロジェクトを一歩ずつ前進させていくやり方に変わっていくでしょう。
試作品(プロトタイプ)をつくるというと、最小限のシステムやページ(HTML)の実装が必要と思っている方も多いのですが、昨今ではツールの進化により、必ずしも実際のページの製作は必要なく、ツール上で画面の動きやユーザー体験を再現することができます。
その分コストの圧縮につながりますし、何よりスピード感を持ってプロジェクトの最初の一歩を踏み出せることは大きな魅力です。
もちろん、ご要望に応じてデザインモックアップや最小限のシステム機能を盛り込んだものも制作可能です。
プロジェクトの検討にかけた時間や熱量を無駄にしないためにも、「プロトタイピング」をつかって、リスクコントロールをしませんか?
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