ベトナムオフショア開発のいま~ベトナムワーケーションレポート

宮㟢泰成 Taisei Miyazaki PIVOT 代表取締役社長

2023.12.12 (更新日 2023.12.12)

PIVOTの代表、宮嵜です。

 

日本のIT企業にとって、いまや欠かせない存在である「ベトナムオフショア開発」。PIVOTでは2010年からベトナム国籍メンバーの採用を開始、2019年には「PIVOTベトナム」を設立しました。

 

ホーチミンには、年に数回のペースで足を運んでいたのですが、ここ数年間はコロナ禍の影響で渡越がかなわず。今回、3年ぶりに「ワーケーション」という形で、5人のメンバーと共にベトナムを訪ねることができました。

 

10日間の滞在を通して強く印象に残ったのは、ベトナムの爆発的な経済成長と、それに伴うオフショア開発現場の変化です。

今回はそれらを踏まえて、今後のベトナムオフショア開発の展望、そしてPIVOTベトナムのこれからについて、書きたいと思います。

もくじ

3年ぶりのベトナム訪問

ベトナムワーケーション

今回のベトナム訪問の目的は、大きく2つありました。

 

ひとつは、日常的にベトナムメンバーと関わりを持っている東京メンバーに、現地の様子を直接確認してもらうことです。

PIVOTベトナムには、東京本社で勤務経験のあるブリッジSEが数名いて、普段は彼らを通じて話をすることが多いのですが、この訪問で、実際の現場担当者とコミュニケーションの機会を設けました。顔を見て話すと、より「一緒に仕事をしたい」という気持ちが強まる良い機会になったと思います。

 

我々がオフショアを始めた当初は、スキル面やコミュニケーションの問題から、社内でもオフショア開発に対する懸念の声がありましたが、現地に行くと余計な先入観が外れて、安心して一緒に仕事ができるようになるんですよ。今回は、エンジニア・デザイナーの各リーダーとディレクターなど計5名での訪問でしたが、それぞれの職域でコミュニケーションを深めてくれたと思います。

 

また、私自身も、初めて現地採用のスタッフとの1on1を行いました。直接話すのは初めてというメンバーもいて、踏み込んだ部分まで話ができたので、収穫は大きかったです。

 

訪問の目的ふたつ目は、ワーケーション制度のトライアルです。現在、PIVOT福岡向けのワーケーション制度はあるのですが、ベトナム向けのものはないので、実際に東京メンバーを連れて行ってみました。多忙なメンバーばかりでしたが、バケーションも2日ほど楽しんで、新たな働きかたを体験するきっかけになったのではないでしょうか。

日本は既にベトナムの優良顧客ではない

ベトナムホーチミン

今回3年ぶりにホーチミンを訪れましたが、そこで爆発的な経済成長を遂げていることを実感します。10年前、バイクだらけだった街中は車が増え、道路事情も劇的に改善している。常宿にしているホテルから見えた草原は、一面、住宅や高層ビルに変わっていました。これだけ国が伸びているさなかですから、若者も目をキラキラさせている。見ていて本当に楽しいです。

 

ビジネス面に目を向けても、10年前とは随分事情が変わっています。例えばベトナムでは、いまベトナムローカルのITサービスがたくさん出てきています。デリバリーからタクシー、独自の決済手段まで実装しているUberのようなローカルアプリ「GRAB」がすごく普及していて、みんな使っている。「進んでいるなあ」と実感しました。

 

現地のIT企業を訪問したのですが、彼らもいま一番力をいれているのはローカルの、ベトナム国内で完結する仕事だと言っていました。一番の稼ぎは海外からの受注ですが、国内の仕事はフィーは低くても、成長期のいまやっておけば将来につながるから、どんどんやっていきたい、と。

 

数年前から「欧米に比べれば、日本はベトナムにとって既に優良顧客ではない」と感じていましたが、ベトナム国内向け市場が広がりを見せる今後は、さらに優秀なIT人材の確保が難しくなってくるでしょう。

 

そんななかでも、幸い、何かしら日本に愛着があったり、同じアジア圏という安心感を評価してくれたりして、日本企業を選ぶ人もいる。これは本当にありがたいことです。PIVOTベトナムも、当初2人だったメンバーが10人まで増えて、順調に成長しています。

オフショア開発のハードルを越える

ベトナムオフィス

オフショア開発でよく言われるのが「言葉のハードル」ですが、実際はクオリティに対する考え方の違いや、発注する側のスキルが問題になることが多いと感じています。

 

日本人は「1を聞いたら10やらなきゃ」という感覚がありますが、ベトナムは「1を聞いたら1」。システムやデザインの分野では、ある1か所を変更したら、関連する部分も修正が必要になるのが常ですが、「その関連部分もあなたの仕事だよ」と指示する必要があります。

 

この問題は、オフショア開発に取り組む企業共通の悩みですが、PIVOTでは、発注側・受注側の双方が歩み寄ることで、この問題の解決に取り組んできました。発注側は「察して、ではなく丁寧に説明をすること」、受注側は「言われてないから知らない、ではなくゴールイメージを考えること」を意識しながら、コミュニケーションを取っています。

 

特に、東京オフィスでの勤務経験があるメンバーは、この点についてすごく気にかけていて、自主的にベトナムメンバー向けの研修をやってくれています。「日本と仕事をするときはこういう点に気を付けなさい」とか「テストの品質はどこまでやらなければならないのか」等。もちろん、まだ努力の過程ですが、この5年間で、コミュニケーションの問題は随分軽くなってきた実感がある。

 

以前は、「これならお願いできるかな?」と選んで発注したものを、最近ではその幅がどんどん広がって、ここ数年は重要な案件も安心して任せられるようになってきました。その成長の足跡を感じられたのも、今回のベトナム訪問の大きな収穫です。

PIVOTベトナムの未来

PIVOT Vietnam

現在のPIVOTベトナムは、ほぼ日本からの案件で動いていますが、近い将来、ベトナム国内での仕事を独立してこなしていってほしいと感じています。彼らは彼ら自身のために力を付けて、仕事を取って、収益を上げられるようになるのが一番いいので、なるべく自立してほしいと思いますし、その手ごたえも感じます。

 

先述したようなローカルの仕事が増えている会社もありますし、「海外の下請け」とは考えたくない。彼ら自身も、前時代の文化を払拭して「自分たちでやるんだ」という気概を持ってもらいたいと思います。

 

3年ぶりのベトナム滞在で、大きく変わっていくベトナムの姿を目の当たりにしましたが、人情に篤く、もてなし好きな「人」の姿はそのままでした。例えば、PIVOTベトナムのメンバーが毎日食事に誘ってくれるので、結局滞在中の3食すべてを一緒に摂りました。ちょっと胃腸は疲れましたが、これは贅沢な悩みですね。

 

ベトナムでは、会社のユニフォームを着て仕事をしたり、社員旅行に社名ロゴが入った服で参加したりするのが一般的だそうです。また、親睦会が盛んにおこなわれ、ときには余興をする…といったこともあるようです。

 

PIVOTベトナムも毎週金曜はユニフォームデーですが、ロゴ入りシャツを着るくらいで、強制性はありません。そういった自主性を重んじるところ、自由な社風は、日本のPIVOTと共通のDNAがあるのかな、と感じています。

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