番号のデコボコはもう古い!? 最新クレジットカードのUXデザイン
2022.1.11 (更新日 2024.7.22)
こんにちは。コロナ禍になってからおうち時間に変化はありましたか?今回のコロナ禍で、ネットショッピングの需要もさらに加速し、リアルで買うものとそうでないものの線引きが大きく変わったという方も多いのではないでしょうか。
かく言う筆者は、コロナ禍まで現金至上主義でして、外出自粛が言い渡されてやっとクレジットカードを手に入れたカード決済初心者です。
なので、クレジットカード初対面の印象も鮮明に残っており、
「コレ変な機械に差し込んだり、落としたりしたらお金使われ放題じゃん!怖っ!」
と、真っ先に思ったことをよく覚えています。
カードの磁気情報を不正に読み取る行為をスキミング、カード表面に書かれている番号情報を盗み見て不正利用することをソーシャルハッキング(※)と呼び、カード決済が発達している欧州などを中心に、新しい対策技術が生まれています。
本日は、近年のクレジットカード業界にじんわり起きている技術的&ユーザー体験の変化を、UXデザインの観点からご紹介します。
※ソーシャルハッキング自体の定義はもう少し広いですが、詳細な説明は割愛します。
もくじ
①スキミング対策|コンタクトレス決済
スキミングが一番起きやすいのは「クレジットカードの差し込み口にスキミング用の機械が取り付けられる」という形態でした。これを防止するために生まれた技術がコンタクトレス決済です。
出典|非接触型決済(Wikipedia)
このようなマークがカードの表面やカードを差し込む機械に記載されているのを見たことがある方も多くいらっしゃるかと思います。ご自身のカードが対応しているか、ぜひお手元のカードを見てみてください。
こちらのコンタクトレス決済、日本だと小規模店を中心にお店側の決済端末が対応していないことが結構多いのですが、今後の拡大に向けた動向にも注目したいです。カード会社が普及に力を入れているので、少しずつ増えてくるのでは?と思っています。
筆者は現在ヨーロッパ在住なのですが、こちらではかなりコンタクトレス決済の導入が進んでおり、スーパーマーケットや個人商店でもコンタクトレス決済が当たり前にできます(それだけスキミングが多いという事情の裏返しかもしれませんが……)。決済端末への抜き差しでカードが折れる心配もないですし、機械を触らずに済むので衛生面でも安心です。
使えば使うほど「意外と抜き差しって手間だったんだな」と、実感させられます。
セキュリティ対策からスタートした技術ですが、ユーザー体験の改善にもつながっている素晴らしい技術革新だと思います。
②ソーシャルハッキング対策|ナンバーレスカード
こちらはまだご存じない方もいるかもしれませんが、現在クレジットカード各社が普及に向けたキャンペーンを実施しているので、ぜひ検索してみてください。
ナンバーレスカードはここ2年ほどで急速に普及しているカードで、筆者が調べた限り、英国のCURVEという会社が2019年9月にクラウドファンディングの募集を開始したのが始まりのようです。以降2020年に香港やスペインも含め、各社で導入が始まり、日本には2020年11月以降にセゾンカードや三井住友カードが発行を始めたようです。
では、ナンバーレスカードとはどんなものなのか、実際に見てみましょう。
画像の通り、カードの表面からカード番号の情報などが消えています。
「これだとカード番号や暗証番号を確認できないのでは?」という疑問が浮かぶと思いますが、ちゃんとできます。カード番号含め細かな情報はスマホアプリから確認し、カードは決済のみに利用する、という方式です。加えて、決済をするごとにアプリを通じて通知が届くなど、各社スマホ一台で不正利用を抑止・確認する工夫がされています。
更に、カード表面にエンボス加工(凸凹の印刷)を施す必要もなくなるため、カード発行から到着までの期間が短縮できる、という利点もあるようです。ネット決済などのカード番号だけでの決済であれば、アプリダウンロードと同時に利用可能になるなど、カード発行に関連するユーザー体験の向上も見られます。
③カード決済の向こう側|カードレスカード
もはや何を言っているかわからない領域になってきましたが、こちらは先ほどのナンバーレスカードの派生形です。決済処理をアプリのみで完結させ、カード自体の発行を省略した形式で、ナンバーレスカードをやや後追いする形で同時に普及し始めています。
「こんなにキャッシュレスが進んだのに、カードを持ち歩くのって手間だよね」という発想から生まれたサービス形態のようです。
こちら、世界的には同時多発的にサービス展開が進んでいるため、日本の導入状況だけご紹介しますと、現在三井住友VISAカードだけが導入をしているようです。
他社ではカードレスを謳っている場合でも、「カードがなくても決済できるけど、カード自体も発行するね」という方式を採用しているようでした。
このページを見て、筆者もしまい込んだキャッシュカードを「どこだっけなー」と探すことがあった事を思い出しました。物理的にカードがなくなると嬉しい、という潜在的な需要も多いのかもしれません。
以上、ここ数年のクレジットカード決済の動向を、UXデザインの観点からご紹介してきましたが、どれだけご存じだったでしょうか?
クレジットカードだけでなく、「意識したことなかったけど、確かにそのサービス嬉しいかも」を生み出すUXデザインに、少しでも興味を持ってくれる方が増えると嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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