【UXリサーチ入門①】ユーザーの潜在ニーズを探し出せ!豊かな顧客体験を創り出す「UXリサーチ」の底力

大場 千夏 Chinatsu Oba PRプランナー

2023.1.27 (更新日 2023.11.07)

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良いサービスを利用したときに感じる「心地よさ」「楽しさ」「満足感」…これらの「ユーザー体験」を設計するのが「UXデザイン」です。近年ではあらゆる分野で注目されていますが、一方で「漠然としていてわかりづらい」「どこから手をつけていいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。

 

そこで、有効な手段のひとつが「UXリサーチ」です。

 

今回は「すぐれたUX」を生み出す第一歩ともいえる「UXリサーチ」について、PIVOTのUXデザインの第一人者・松浦祐希さんにお話を伺いました。

もくじ

大切なのは適切な「問い」を知ること

―最近「UXリサーチ」という言葉をよく耳にするようになりました。

そもそもUX自体が広義な言葉ですよね。アプリを使って「使いやすいな」と感じるのもUXですし、「そもそもどういうサービスなのか?」ということもUXの範疇です。「ユーザーがサービスに触れたときに得る体験」のすべてがUX(ユーザーエクスペリエンス)ですから、非常に範囲が広いんです。

 

ただ、サービスの使いやすさ(ユーザビリティ)は人間の認知や反応、目線の流れなどを基にロジカルに組み立てることができるのに対して、「どういうサービスを必要としているのか?」という問いには、ターゲットそれぞれに想いや欲求があるので、答えはひとつではありません。

 

ですから、UXを考える上ではこの「どういうユーザーが」「どんな場面で」「どんなサービスや機能を」求めているのかを知ることが重要なんです。

 

それを知るための一連の行為を「UXリサーチ」と呼んでいます。

―UXリサーチは、UXデザインのプロセスの一部なんですね。

UXデザインを行うに当たっては、

① 利用者を知る

② 課題を定義する

③ 解決策をデザインする

④ テストして利用者の反応を見る

という4つのステップを踏みます。

UXリサーチが担うのは、①②の部分で、よりサービスの精度を上げていくというプロセスです。

―UXリサーチを行うメリットは、どんなところにあるのでしょうか?

例えば、カフェのUXで考えてみましょうか。

使い勝手や利用頻度を改善することを目的に、利用者に

「カフェを利用するときに、どんなことを求めていますか?」

という質問をするとします。

このときに返ってくる答えは、
「早くオーダーしたい」
「席を確保したい」
「Wi-Fiがほしい」
とさまざまですが、複数の回答を抽象化して分析すると、本当のニーズは実は「ゆったりとした時間を過ごしたい」というところにあったりするんです。

 

「早くオーダーしたい」「席を確保したい」という見えているニーズにだけ応えようとすると、「予約システムを作りましょう」という話になりますが、リサーチによって本人も気づいていない要求を見つけ出すことができれば、「ソファをリッチにしましょう」とか「くつろげる空間を演出しましょう」という、まったく違う施策が見えてきます。

 

PIVOTでは、主にアプリやWEBシステムなどを対象に、よりよいUXを提供するためのリサーチを行っています。

―表面的に見えているニーズ に振り回されないことが重要なんですね。

ユーザーは何を求めているのか?という問いを正しく知らないと、間違った方向に努力してしまうことになりますよね。

 

また、いろんな問いがあるなかで、どの問いに答えることがもっともその企業らしいのか?その企業のアイデンティティに沿っているのか?という視点も重要です。

最適解にたどり着くための、適切な「問い」を見つけ出すことが、UXリサーチの根幹だと思っています。

インタビューで「新たな気づき」が見えてくる

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―UXリサーチの具体的な手法は、どのようなものですか?

PIVOTが行うのは、インタビューなどの定性的な調査がほとんどですね。一般的には、定量的なデータと定性的な調査を組み合わせる…という説明が多いのですが、実際は「利用者アンケート」や「お客様の声」のような定量的なデータは、お客様ご自身が持っている場合が多いんです。

 

ですから、僕がやる場合は実際にインタビューをして、その結果を分類・抽象化していく手法を使います。

―リサーチの結果、思ってもみなかった結果がでることはありますか?

クライアント様は、普段から現場で実際のお客様と接していますから「想定と180度違う!」というようなことは、それほどないんです。

ただ「こういうところにもニーズがあるのか」という発見や、「こういう課題を持っていたんだ」という新しい気づきを得ることはとても多いですね。

 

UXリサーチの仕事をしていると、たとえ少ない人数だとしてもインタビューをするとしないとでは、気づきの質が違うと実感します。30分~1時間程度、じっくりと話をお聞きしますから、ハッとさせられるような新しい視点が出てきますよ。

―UXリサーチはどんなタイミングでの活用が有効ですか?

まずは新規事業の企画検討フェーズが想定されますが、どんなタイミングにおいてもユーザーのニーズをつかむことは意味があると思います。

 

例えば、サービスを長年グロースさせようとしたときに、サービス開始から3~5年経つと環境が変わってニーズにも変化が出ることがあると思います。そんな「ニーズの再定義」が必要なときにも、UXリサーチは有効です。

 

近年では、チャットインタビューなど簡易的にUXリサーチができる方法もありますから、実施のハードルは下がっている印象です。

ユーザー目線でのデザインは、PIVOTのカルチャー

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―PIVOTのUXリサーチへの取組みは、いつ頃からはじまったのですか?

UXリサーチという言葉が普及しだしたのは、この5~6年だと思いますが、PIVOTではそれ以前から、実際の店舗に出向いてお客様を観察したり、商品を買う流れを実際に体験したり、モニターに長期的にサービスを使ってもらってインタビューしたり…という試みは行っていました。UXという言葉が流行る前から「実際に利用者を知らないと、デザインは作れない」という意識があったと思います。

―元々PIVOTが持っていた哲学、企業風土に「UXデザイン」の考え方が含まれていたんですね。

「UX」と言うと難しいものだと思われる方もいらっしゃいますが、ベースにあるのは「サービスを使う人」に焦点を当てて、質の高い体験を提供する、という考え方です。そういう点では、PIVOTは今も昔も、「ユーザーが本当に求めるもの」をデザインに落とし込んで考える、ということをやってきましたし、特別目新しいことをしているという意識はありません。

―UXリサーチャーに求められるのはどんな能力でしょうか?

客観性と主観性の両面、そのバランスでしょうか。
リサーチを行う際は、できる限りバイアスを排除した客観的な視点が必要です。思い込みや決めつけは雑音になりますからなるべく排除して、フラットな視点でニーズだけをモデリングすることを気を付けています。

 

一方で、リサーチで得た課題とクライアントのニーズをマッチさせるときには、主観的なクリエイティブジャンプが必要ですから、その両面を大切にしています。

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