UIデザインに関わり深い!便利な道具の中でのインタラクションの役割とは
2021.7.13 (更新日 2024.7.11)
こんにちは。PIVOTコラム編集部です。
この記事では、インタラクションの役割について考えてみたいと思います。
もくじ
道具は身体を補充・拡張する
人間の潜在意識を発見したことで知られているフロイトは、自著内にて、人間が作り出す道具やテクノロジーについて、こう述べています。
道具は全て、運動器官であれ、感覚器官であれ、要するに人間の器官を補充するもの、ないしは人間の器官の働きに対する制限を取り除くものである
このように、道具の機能はすべて、人間の身体機能の欠損の補充や、生身でできることの上限をあげるものとして置き換えて表現することができます。
身近な道具で例えると、メガネは人間の視力の欠損を補充し、靴は歩くことですり減る足の皮を補充するもの、車輪やてこは筋力や体力を拡張するもの、照明などは視覚能力を拡張するもの…というように置き換えられます。
このように、人間は、生来の能力を補い拡張するものとして、道具や技術を発展させ、生身では不可能なことを実現できるようになりました。
デジタル製品の中でインタラクションデザインはどのような役割を持つか
トンカチを例に考えてみると、トンカチの機能は「釘を打つこと、物を叩いて強度を確かめること」です。前項のような視点で考えると、形状と機能からトンカチは人間の筋力と皮膚を拡張する物だといえます。そして、トンカチは、自分の皮膚や筋力を使って使用するため、物を叩いた時の衝撃や触感をダイレクトに感じることができます。
原始的な道具には高度なテクノロジーが使われない代わりに、常に使用の実感がありました。「自分の生身の能力を超える力を持って、道具を行使している」という実感が生まれるので、危険な乱用に気づくことがそこまで難しいことではありませんでした。
一方で、社会に便利さを提供するテクノロジーは、システムの複雑さを隠してしまい、ユーザーをどんどん怠けさせます。テクノロジーが怠惰性を高める中で、使用者が自分の身体を通して感じられていた使用の実感が失われてきたのです。
電気自動車の擬似エンジン音の搭載の義務化は、実感が失われることで生じた有名な例のひとつになるでしょう。エンジン音がしない電気自動車は、運転者も周りにいる人も音によって車がどのような状態にあるか実感することができず、それが原因で起こる事故も存在します。
インタラクションデザインは使用する実感を強める
これまでは、実際の生活で使われる道具を例にしましたが、デジタルにおける「道具」はどうでしょうか。
インターネットを介した情報伝達技術によって、人間は情報やメッセージを瞬間的に世界のどこにでも届けられるようになりました。
人間の能力の拡張に例えると、人間の声が拡張され、とても小さな囁き声でも世界中に伝わるような状態だといえますが、デジタル環境においては、情報を発したという実感がないことにより、使用者は誤った使用をしてしまうこともあります。
インタラクションの役割
現在では、このような問題に対して、インタラクションデザインで解決しようとする施策がサービス提供者側でみられます。
例えば、noteでは、記事の投稿前にモーダルが表示され、他者を傷つける内容が書かれていないか等の使用者に注意を促すメッセージが表示されます。世界中に届く声を簡単に発することができてしまう現代では、ユーザー自身が自分の発するメッセージに気を配り精査する必要がありますが、サービスを提供する側も、ユーザーにそのような行動を促す責任を負っています。
このような環境において、デジタル製品やITサービスにおけるインタラクションデザインは、システムがデジタルに変換されていくなかで道具が失ってしまった「使用する実感」を与え、使用者を正しい利用へと導いていく役割を担っているのではないでしょうか。
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