コミュニケーションを活性化して、組織のエンゲージメントを高める。社員発信の「働き方を考える集い」。
2024.11.21 (更新日 2024.11.21)
こんにちは。PIVOTコラム編集部の大場です。
近年、働く人の価値観の多様化、ライフスタイルの変化を背景に、「働き方改革」の取り組みが急速に進んでいます。
PIVOTでも、企業として多様な働き方を実現する制度改革を進めていますが、一方で、社内メンバーからも組織の在り方や、楽しく働くためのアイデアを検討し、PIVOTならではの「めざす働き方」を考えるアクションが生まれています。
それが、「働き方を考える集い」。PIVOTで働く人が抱える課題を毎週1つ取り上げてディスカッションし、新しい働き方を模索する取り組みです。
今回は「働き方を考える集い」の、活動の実態、参加メンバーの変化についてお聞きします。
もくじ
メンバー発信で「働き方を考える」
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「働き方を考える集い」の活動内容について教えてください。
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渡部
2022年にはじまった取り組みで、現在は週1回、テーマに沿ったメンバーに集まってもらいディスカッションを行っています。ディスカッションの様子はラジオとして社内に配信し、アーカイブや議事録も公開しているので、その場に参加していなくても興味がある人はアクセスできるようになっています。
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この集いは、メンバー発信で始まったとお聞きしました。最初のきっかけはどのようなものでしたか?
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渡部
当初は、プロジェクトマネジメント力向上を目的とした、PM講座を開催していました。会議の中で、組織に関するアンケートを取ったところ、この講座では完結できない課題感や生の声が挙がってきたため、PM講座から切り離して始めたのが「働き方を考える集い」です。会社には当初から「メンバー発信の自主的な活動があっていいよね」という形で認めてもらっていました。
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こういったメンバー発信での活動は、PIVOTでは多いのですか?
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渡部
最近増えてきましたが、僕らが始めた当時にはまだなかったかなと思います。
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戸田
元々「社員の声を大事にする」という風土はあったのですが、どちらかと言うと会社主導で始めるものが多くて、本当に自律的にメンバーが考えて動き出したというのは、この集いが初めてです。職種や職域の垣根を取っ払って、普遍的なテーマを何でも扱うぞ、というのも新しかったですね。
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西田
PMやOJTリーダーなどのメンバー育成に携わる人を対象にした「人材育成する側の課題・悩み」に関するものや、「組織改編後の状況確認」「新卒面接に面接官として参加するときの心得」、「チームビルディングのお悩み/工夫」などです。
実際は、例えば「育てる側の人集まれ!」といったくだけた表現でテーマ告知していて、ざっくばらんな集いの雰囲気を伝えるようにしています。
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テーマが面白いですね!議論の内容はどのようなものでしょうか?
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渡部
例えば「人材育成する側の課題・悩み」の場合。そもそも人材育成について語るとき、被育成側をどうケアするか、どう育てるか、といった、彼ら/彼女らが議論の主語になることが多いですよね。一方で、育成にコミットする側のケアや知識の共有、議論をする場は圧倒的に少ないと感じていました。そこで悩みや困りごと、逆にうまくいった体験を共有してもらうため、チームリーダーやPM、OJTリーダーを集めて、それぞれの経験を話してもらうことにしたんです。
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西田
ほかにも、みんながモヤモヤを感じていること、例えば「提案活動ってどういうふうに進めてる?」とか「新任リーダー増えたけど、不安はある?」とか、それくらいの柔らかい粒度でテーマが設定されているので、不安に思っていることや自分の経験を各々ざっくばらんに話しています。
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戸田
そうですね。ゆるやかなラフに話せる場になっています。キャリアの浅いメンバーからすると、すごく年上の先輩でもバンバン会話ができる、意見が言える、という空気がつくられていて、もちろん悩みもあるんですけど、それを悩みで終わらせないようなポジティブな空気というのはありますよね。
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渡部
話してもらったことに対して「そうじゃない」「~~しなさい」といった上下関係を示唆するようなフィードバックはしないようにしています。あくまで生の声を聞かせてほしいので、「マジレス」は禁止です(笑) 。僕ら主幹側のメンバーは、あくまでもファシリテーションに徹して、聞かせてもらったことに善し悪しの判断はしない、聞かせてもらってありがとう、というトーンは崩さないように気を付けています。
失われたインフォーマルコミュニケーションを補う
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この活動の魅力はどういったところにありますか?
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西田
この活動がはじまった2022年はちょうどコロナ禍で、社内でのコミュニケーションがぐんと減った時期でした。それまでは休憩時間や定時後にちょっとコーヒーを飲みながら話をして、課題や不安、相談事をカジュアルに相談できる機会があったんです。あくまでアンオフィシャルな場でしたが、それすらなくなってしまって。
そのなかで、この集いはその代わりというか、ざっくばらんに思っていることを話せる新しい場として機能していましたし、アフターコロナのいまも、その役割を果たしていると思います。
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戸田
私は勤続歴が長いのですが、PIVOTの歴史から見ても、当時は社内のコミュニケーションが減ったのを肌で感じていました。所属チームやプロジェクトメンバー以外との接触が減っていたなか、この集いが始まって、会社として開けた場所で話ができる、というのは大きな魅力でしたね。
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渡部
リモート環境下では、ちょっとした悩みや悶々とした気持ちを話す機会がつくりづらいですよね。思っていることを話したり、「私もそうだったよ」と共感してもらったりすることで、肩の力が抜けることもある。生産的な議論だけでなく、メンタル的な部分でのつまずきもケアできるよう、この集いは「安心の場」としての側面も大切にしていきたいです。
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戸田
誰かが聞いてくれる、という安心感はありますよね。普段接点のないメンバーやリーダー層がいるなかで、自分が話すことで変わっていくことがあるんじゃないかな、という期待感があります。
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西田
話を聞いていると「こういう悩みがあるんだな」とか「自分もこれが問題だと思っていた」など共感するポイントがあって、ゆるいつながり、共感を育む場としても機能しているなと。いままでそういう場は、飲み会だったと思うんです。でも、いまは業務のなかでそういう時間があるので、すごくポジティブな取り組みだと感じています。
共感から生まれる、ゆるい「つながり」
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この活動を通して、会社や周りの人の変化を感じることはありますか?
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渡部
例えば評価の在り方や等級の設計、ロールごとに求める役割、組織全体にかかる仕組みづくりといったトピックは、以前は完全にクローズドで、議論する場も開かれていなかったんですよね。それをまずオープンにすることによって、組織視座での課題についてメンバーが触れる絶対量が増やせたかなと思っています。
それがないと、意図を丁寧に伝えたとしても、結果的に与えられたものでしか判断ができませんよね。思うところがあっても、飲みの場で愚痴って発散する、という方法しかなかったものが、場が開かれて、生の声が聞けて、自分の意見も発信できるようになった。その結果、組織視座での議論ができる、してみよう、と考えるメンバーが増えたように感じます。
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戸田
以前は「会社の上の方で決めたこと」だったものが、オープンな場でいろいろ聞けるようになって、納得感は上がりましたよね。
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西田
何かあったときにエモーショナルなハレーションが起こることも防げますよね。モヤモヤを抱えたまま離職しちゃう、という人も減っているように思うんですけど、それは言い過ぎですか…?
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渡部
ゼロではないかもしれないけど…(笑)。具体的にメンバーが、そして組織が変わったね、と感じられるようになるのは、早くてももう2~3年くらい必要だと思っていて、いまの活動はその種まきだと捉えています。組織の形やルール、仕組みは会社から一方的に与えられるもので 、そこに自分を合わせるという文脈ではなく、自分が組織の変革や働き方の多様化に寄与できるんだ、というマインドセットを持ったメンバーが増えていけば、一定の成果と言えるのではないでしょうか。
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西田
集いの場では、職種や等級を超えていろんな人の声が聞けますが、最近はバイネームで「あの人の話が聞きたい!」という声が挙がるようになってきました。普段の業務ではつながりがなくても、この場で考え方やキャリアプランに共感できる人を発見して「あの人と働いてみたいな」と思う人が出てきたりしていますよね。
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渡部
PIVOTの組織体制は昨季から、少数の人に権限を集中させるトップダウン型から、小さなチームをたくさん作って、それぞれに権限移譲を進める形に変わりました。チーム内の情報共有の強度・密度を上げ、チーム単位のクイックネスも向上しているのですが、一方で、クローズドになりやすいという課題も新たに出てきました。その点で、ロール(職種)や等級の垣根を越えてオープンに話せる、ゆるいつながりの輪をつくることも、ひとつ、この集いが担うべき部分と言えます。
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戸田
何か困ったことがあったときに、相談できる人は多い方がいいですよね。私は、この集いが会社の風通しとか、オープンな風土づくりに良い影響を与えているな、と感じています。もともと、社員発信の自主的な活動に対して、会社もポジティブな捉え方をしてくれていたのですが、生の声が届きやすくなって、良い働きかけができているんじゃないかな。活動を続けることで、文化づくりの一翼を担っていけるポテンシャルがこの集いにはあると思います。
僕らが楽しく働ける場って、どういうものだろう?
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今後、この集いをこういうふうにしていきたい、という希望はありますか?
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西田
当初私が参加したときと同じように、ざっくばらんに話せる場として機能してほしいです。この集いは、発足当初と今では、形式も雰囲気も変わっています。PIVOTを取り巻く内的・外的要因によって、「PIVOTらしい働き方」も変化しますし、それに合わせてこの集いもフレキシブルに形を変えていくと思いますが、業務の中でつまずいたときの選択肢のひとつ、解決の手段として、みんなが思い浮かべてくれるような存在になったらいいな、と思っています。
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戸田
この集いに参加すると、いろんな立場の人の話が聞けるのですが、私が感じているのは、下の子から学ぶことが、すごく多いということです。「そんなこと考えてるんだ」という驚きもあり、結果視座が上がって、より深く働き方について考えるようになりました。この気持ちを共有する人が、もっと増えていったらいいなと思います。
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渡部
まさにそうですね。キャリアや仕事観が固まってしまうと、若手の生っぽい意見を聞く機会がなかったり、無意識に「こういうものだ」とラベル張りをしてしまう人も多いと思います。そういう人にとって、この場はアンラーニングの絶好の機会になるのではないでしょうか。
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新たな取り組みとして、何か考えていることはありますか?
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渡部
これまでは、普遍的なテーマについて生の声を聞かせてもらい、ときには会社側にフィードバックをして…という活動が主でした。この活動の軸は守りつつも、新たにインプット、学習の場として、集いを活用することを考えています。
ひとつ例を挙げると、先般「新卒面接について話そう」というテーマで会を持ちました。今年から、現場のデザイナーやエンジニア、ディレクターが新卒採用面接に参加することが増えたのですが、僕をはじめ、面接経験者が過去の体験を話したら、参考になるのでは?と思ったんです。
「僕はこういう観点で質問をしています」とか「僕とデザイナーさんで臨むときには、デザイナーさんにはこういう質問をしてほしい」とか。現場担当者からの質問は、HR観点からの質問とはまた違う視点が必要ですし、ロール別の組み合わせパターンによって、聞くべきことも変わってくるので、その点をお話しました。
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戸田
ペアで面談に臨む相手によって質問が変わるとか、私は考えてもいなかったので、とても参考になりました。体験に基づいた言語化できないナレッジ、肌感とか匂いとか、そういうものも含めて共有してもらって、心構えもできましたし、落ち着いて臨めたと思います。
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渡部
こういった、集いの場以外の活動にドライブをかけるための使い方を、今後は増やしていきたいと思っています。例えば、新規案件獲得のための提案の流れについて、基本的な考え方のインプットを議論も交えつつ行ったり、コラム記事にしやすいテーマを選び、PRメンバーの理解度を高めつつ、記事作成に繋げたり。ベーシックな形は変えないけれど、集い以外の組織活動に対して寄与できるような役割・機能は設けていきたいなと考えています。
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今後、集いの活動をどのように発展させたいか 、目標や夢があれば教えてください。
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渡部
直近の目標は、組織の視座に立って議論できるメンバーを増やしていくことです。与える側、与えられる側、という二元論ではなく、「僕らが楽しく働ける環境ってどういうものだろう」という視点に立って、柔軟に、オープンに話せる環境をこれからも目指していきたいと思います。
長期的には、この「働き方を考える集い」から派生して、興味があるテーマを「私たちでもやってみよう」という動きが出てきたらいいですね。そうなったら、この集いのミッションは果たせたと胸を張れるなと思っています。
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ありがとうございました!
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