ユーザー理解が進化する!デジタルサービス成功の鍵『エスノグラフィー調査』とは
2024.12.18 (更新日 2024.12.18)
こんにちは、PIVOTの大場です。
サービスや商品がユーザーに受け入れられ、成功を収めるためには、ユーザーのニーズを深く理解し、それに応えるもの提供することが不可欠です。
とはいえ、一般的に多く用いられている調査手法では、ユーザーが本当に求めている「本音」や「潜在ニーズ」を十分に把握できない場合があります。アンケートやインタビューで得られるデータは表面的な意見や自己申告に過ぎず、実際の行動や感情の裏側にある課題を見落とす可能性があるからです。
そのような課題を解決するのが「エスノグラフィー調査」です。
この記事ではエスノグラフィー調査が解決できる3つの課題について、具体例とともに解説していこうと思います!
もくじ
課題① ユーザーの“表面的な声”だけに囚われてしまう
■ 課題①の背景
アンケートやインタビューは、ユーザーの意見を直接聞くための有効な手法として広く活用されています。一方で、ユーザーが自分の行動や意見を過大評価または過小評価して答える傾向があることや、質問の枠組みが回答を制限し本音を引き出しきれない場合があることも事実です。そのため、それぞれの手法には特性や限界があることを理解し、目的や状況に応じて適切に使い分けることが重要です。
たとえば、あるデジタルサービスの提供会社が「普段どのようなアプリを利用していますか?」とユーザーに質問した場合、回答者は「時間管理や健康管理のアプリをよく使います」と答えるかもしれません。しかし、実際の利用データを分析すると、実際に多く使われているのは、ゲームアプリや動画ストリーミングアプリだった、というようなギャップが生じたりするのです。
■ 課題①に対するエスノグラフィー調査での解決
エスノグラフィー調査では、ユーザーの実際の生活や購買行動を観察し、何が意思決定に影響を与えているのかを深く掘り下げます。
先ほどの例であるデジタルサービスの提供会社であれば、ユーザーの日常的なスマホ利用の様子を観察する事で、どのようにアプリを選び、使っているかをリアルに理解します。このような調査により、「生産性向上を目的にアプリをインストールしたものの、実際にはリラックスや娯楽を優先している」といったインサイトを得ることができるのです。
課題② 潜在ニーズや不満を見落としてしまう
■ 課題②の背景
ユーザーが自覚している課題やニーズだけに焦点を当てると、表面的な改善に留まってしまうことも懸念のひとつです。特に、ユーザー自身が気づいていない「潜在的なニーズ」や「日常の不満」は、従来の調査手法では拾い上げにくいものです。
これらを見逃すと、競合との差別化が難しくなり、サービス・商品の魅力が十分に伝わらない…という事態を招きます。
たとえば、デジタルサービスの提供会社が既存のタスク管理アプリに関する改善ポイントを調査した場合、「インターフェースをもっとシンプルにしてほしい」「通知機能を強化してほしい」といった回答が一般的かもしれません。しかし、実際の利用シーンを観察すると、ユーザーが複数のタスクを整理できず混乱している様子や、リマインダーを見逃してしまっている状況が見られることがあります。ユーザー自身がそれを課題として認識しておらず、アンケート調査には現れない可能性があるのです。
■ 課題②に対するエスノグラフィー調査での解決
エスノグラフィー調査では、ユーザーの行動や使い方を詳細に観察することで、顕在化していない課題を発見できます。
たとえば、「アプリの操作が直感的でない」ことが不満の原因であり、これを解消するために「シンプルなUIデザイン」や「カスタマイズ可能な機能」が重要な差別化ポイントであることが明らかになります。これにより、ユーザーが言葉にしない課題や要望をアプリの設計に反映することが可能でになるのです。
エスノグラフィー調査では、ユーザーの行動や使い方を詳細に観察することで、顕在化していない課題を発見できます。
課題③ ユーザーの多様性や文脈を捉えきれない
■ 課題③の背景
ユーザーの行動は、文化、環境、状況によって大きく異なります。一律のデータや平均値だけを見てしまうと、ユーザーの多様な背景や文脈を見逃し、実際のニーズとのミスマッチが生じることがあります。特に、地域やライフステージの異なるユーザーの独特なニーズを理解することが難しくなります。
たとえば、グローバル展開を目指すスマホアプリで「世界共通のUIデザインや機能」を採用した場合、特定の地域では受け入れられない可能性があります。地域ごとの文化的な価値観やスマホの利用習慣を無視すると、どれだけ便利で優れたアプリでもユーザーには使ってもらえない…という事態が起こり得ます。
■ 課題③に対するエスノグラフィーでの解決
エスノグラフィー調査は、ユーザーの生活環境や文化的背景を考慮したインサイトを提供します。
たとえば、アジア市場でのスマホアプリの利用シーンを観察することで、「通勤中の短時間での操作性」や「通信環境が不安定でも使えるオフライン機能」が特に重視されている、等の特徴が見えてくるかもしれません。このような情報は、特定市場向けの機能開発やローカライズ戦略に直結してくる貴重な見解です。
実感!エスノグラフィー調査の導入で得られる成果とは
PIVOTでは、デジタルサービスやプロダクトの制作、DX化支援といった多様なプロジェクトにおいて、エスノグラフィー調査を取り入れることで、以下のような具体的な成果を感じていただいています。
まとめ
「ユーザーの本音を引き出せていますか?」という問いに、自信を持って「はい」と答えられる企業は少ないかもしれません。エスノグラフィー調査は、ユーザーの生活や行動を深く理解することで、従来の調査手法では得られない価値あるインサイトを発見します。
今抱えている課題が、表面的なユーザーデータでは解決できないと感じているなら、ぜひエスノグラフィー調査を検討してみてはいかがでしょうか。
ユーザー理解の新たな扉を開くこの手法が、次の成功を引き寄せる鍵となるかもしれません!
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