【座談会】子ども向け学習コンテンツの制作ノウハウを公開?!担当者がホンネベースで語ります

大場 千夏 Chinatsu Oba PRプランナー

2023.8.25 (更新日 2023.8.25)

こんにちは!PIVOTのPR、大場です!

PIVOTではこれまで10年以上にわたって、子ども向け学習コンテンツの制作に携わってきました。主な対象は年中さん(5歳)から、小学6年生(12歳)まで。大人向けコンテンツとは違う視点が求められるのはもちろんのこと、5歳と12歳では、好まれるデザイン・UIもまったく違います。

 

今回は、子ども向けコンテンツを担当する4人に、子ども向けコンテンツならではの注意点や、子どもの心をつかむコツについて、座談会形式で語ってもらいました。

プロジェクトマネージャー篠原、プロジェクトマネージャー高城、UIデザイナー河村、UIデザイナー王

もくじ

① 配色、操作性、演出まで、子どものことを徹底的に考えてつくりこんでいます

  • 今日は子ども向けの学習コンテンツを担当する4人に集まってもらいました!

    現在主に、王さんと篠原さんが小学生向け、河村さんと髙城さんが未就学児向けの担当ですね。

    まずお聞きしたいのは、UIにおいて、大人向けと子ども向けの違いってどんなところにあるんでしょうか?

  • 基本的なことだと、私たちが携わっているコンテンツはタブレット端末向けのアプリなので、子どもの小さい手でも操作しやすいように、大人向けより大きめにUIをつくっています。色遣いも、子どもが認識しやすいように、彩度を高くしています。

  • 篠原

    色の話で言うと、1年生と6年生でも全然違いますね。小学1・2年生はより彩度の高いポジティブな色を好みますが、4年生以上になると単純な色遣いでは物足りなくなってくる。背伸びしたい年頃でもあるので、あまりに子どもっぽいと引きが弱くなることもありますね(笑)。

    女の子は男の子より早く大人っぽいテイストを好むようになる傾向もありますし、「子ども向けUI」とひとくくりにはできないところがありますよね。

  • あと「直感的に操作できるUIを目指せ」とよく言われますが、子ども向けの場合はさらに一歩進んで、「子どもの直感を引き出すようなUI」にする必要があります。

    例えば、「ここを押したら動きそう」と子どもが見た瞬間わかるような…。

  • 髙城

    私が担当している年中・年長さん向けでは、押してほしいボタンは必ず点滅させるんですが、まさにこれがそうですよね。学齢が下がるほど「直感を引き出す」ことが重要になるように思います。

  • 河村

    年中・年長さん向けは、まだ文字が読めない前提なので、アニメーションやインタラクション(※1)を駆使しながら、操作を促しています。また、子ども向けコンテンツでは、操作性の統一や、デザインルールの徹底も重要になってきますね。

  • トンマナを揃えてデザインに統一性を持たせるのは大人向けでも必要なことですが、子どもの場合はさらに徹底しなければならないのですね。

  • 河村

    学習コンテンツですから、集中を削いでしまう余計な負担はできるだけ減らしたいんです。レッスンごとにボタンの形状や色、操作性が変わってしまったら、子どもは混乱しますよね。

    だから、実際の制作に入る前にデザインルールを定めて、最低限守るべき内容を決めていました。

    例えば、ボタンなら「どれくらいボタンぽくするか?」「縁は付けた方がいいか?」「立体感を出すか」など多くの検討を重ね、さらに実際の子どもさんを対象にユーザーテストしてもらってから、決定しています。

② 子どもを「夢中」にさせるUIづくり

  • 髙城

    私が苦戦しがちなのは、「不正解」の演出です。×(バツ)とか、「違うよ」とか否定につながるような表現はNGなので、UIでどう表現するか、というのは当初苦労しましたね。

  • わかります。私もゲームの成功画面と失敗画面はわかりやすく差をつけた方がいいと思っていたのですが、悔しさを感じさせるより「頑張ったらごほうび(ゲームなどのコンテンツ)がもらえるよ」と励ます方が、子どもにとってはモチベーションが上がるんだ、とつくりながら学びました。

  • 髙城

    ブブーッと派手な警告音が鳴ったりすると、子どもはすぐすねたりするので…。

    どう飽きさせないか、すねさせないか、はいつも知恵を絞るところです(笑)。

  • 篠原

    カクン、というSEで表現したり、キャラクターの頭に「?」マークを出したり…失敗でも画面を暗くし過ぎないとか、テンションを落とさせないように、落ち込ませないように、というのは意識しますね。

UIデザイン座談会 篠原
  • 髙城

    逆に、褒めたり励ましたり、というポジティブな要素の演出は全力で派手に、力を入れてつくります。

    褒めるときは盛大に褒める。そこはこだわりを持って、デザイナー陣が頑張っています(笑)

  • 河村

    子どもがどこまで自力で、あきらめずに学習に取り組めるか、デザインによってそれをどう後押しするかに、いつも知恵を絞っています。だから、子どもが自らタブレットに向かっている様子を見ると本当にうれしいですね。

③ 子ども向けUIには思わぬ落とし穴が?!

  • 子ども向けコンテンツならではの苦労や「やっちゃったな」という失敗談はありますか?

  • 髙城

    最近あったのは、年中さん向けコンテンツで「ボタン連打」を想定しない設計にしてしまったことです。大人がテストすると1回しか押さないところを、子どもってダダダダって連打してしまうんですよね。それでエラーが出てしまって…。

  • それは子どもあるあるですね。

  • 髙城

    だからと言って「連打しないでね」と子どもに言うのは違いますよね。そこで実装の方で、連打しても、操作性のストレスにならない範囲で数秒間は反応しない、という処理を入れてもらいました。

  • 篠原

    プロジェクトに参加した当初は、「子どもの目線に合わせなければ」という意識が強すぎたように思います。でも実際は、大人である自分より子どもの方ができること、得意なことも、たくさんあると次第にわかってきました。

    ゲームの難易度設計をするときも、自分が10できるから、子どもは5だろう、と思っていると失敗してしまいますね。子どもは本当に大人の想像を超えてきますよ。

  • それは子ども向けコンテンツをつくる上での鉄則かもしれませんね。

  • 私の場合はちょっと違って、大人向けデザインなら、ユーザー目線での検証もやりやすいのですが、子どもの場合は、なかなか同じ気持ちになるのは難しいと感じています。自分の子どもの頃を思い出してみても、いまの子とは世代も違うし・・・。その分、子どもの心理学の本を読んだりして、子どもの考え方を学ぶようにしています。

④ 子ども向けコンテンツ、ここが面白い!

  • 子ども向けコンテンツをつくっていて、やりがいを感じるところはどんなところですか?

  • 髙城

    やっぱり子どもたちの反応がうれしいです!掲示板やアンケートに書かれたコメントを読ませてもらうと「つくってよかったな」と実感します。

  • 篠原

    単純ですけど、それが一番ですね。子どもって、反応がとても素直なんです。喜ぶときはめちゃめちゃ素直に喜んでくれる。それがすごくうれしいな、って。

  • 「これは人気が出そう!」と思ったコンテンツが、意外と人気薄だったりすることもありますが…(笑)。そこも、次への反省として生かしながらつくっています。

  • 髙城

    そういえば、王さんはプライベートで遊ぶゲームから、デザインや演出のヒントを得ていたりしますよね。大人向けゲームから得たアイデアが、子ども向けコンテンツに見事に反映されていて、それを見るのも私のひそかな楽しみです(笑)。

  • 普段ゲームをやっていると、「あ、この演出いいな!」と思ったりしますね。楽しくゲームをしていたはずが、いつの間にか仕事のことを考えていて…。

  • 髙城

    職業病ですね(笑)。

  • 篠原

    さすがPIVOTイチのゲーマーですね。ローディング画面とかガチャの演出とか、参考になる点がたくさんありますもんね。子どもは演出のひとつひとつを気にして見てはいないかもしれないけど、その積み重ねが没入感だったり、「夢中になれるUI」に繋がっていくんだと思っています。

  • 河村

    子どもたちは、集中力も発展段階ですから、いかに飽きさせないか、世界観に入り込んでもらうか、という点にはこだわっていますね。タブレットを起動するのが楽しみになって、親御さんが見ていなくても子どもが自ら取り組むコンテンツ設計になっている、というのが理想。そのために「デザイン」ができることは多いんじゃないかなと思います。

⑤ 学習コンテンツへの想い、子どもたちへの想い

  • それでは最後に、学習コンテンツや、子ども向けコンテンツへの想いをお願いします。

  • 子どもたちが楽しく勉強しながら、ゲームも楽しみながら、成長していってくれるといいな、と思ってつくっています。

    子どもたちはもちろんですが、親御さんから「子どもがとても楽しんでいる」という感想をいただくこともあって、そういうときには本当にやりがいを感じますね。

  • 髙城

    わかります。学習コンテンツですから、最初は親御さんがやらせたくて申し込んでいることも多いと思うんですけど、子どもが嫌々ではなく、楽しそうに取り組んで成長していく様子を見てくださったら、とてもうれしいですね。

    親子のリアルのコミュニケーションに、私たちがつくっているコンテンツが貢献できたらいいなと思っています。

     

  • 篠原

    コンテンツを通して、子どもたちが自分の強みを発見できたらいいなと思っています。

    学習はもちろんですが、ゲームなどのサブコンテンツでも、反射神経が必要なもの、じっくり考える力を問うものとさまざまですから、得意・不得意を把握しやすいんじゃないかな。

    このコンテンツに取り組むことで、新しい自分の得意分野を見つけてくれたら、こんなにうれしいことはありません。

  • 河村

    楽しく取り組みたくなるように、継続的に続けられるように、というところにもっとも心を砕いているので、「楽しく勉強を続けられています」という声を聞くと、本当にやっていてよかったと思います。

    子どもたちが「毎日定期的に勉強する」という学習習慣を身に着けてくれたらいいなと思います。

  • ありがとうございました!

※1 インタラクション:ユーザーの操作に応じた反応

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